歯周病と免疫~口の中の戦いは体の健康にも影響する~
大和市大和駅徒歩二分のまごころ歯科です!今回は歯周病と免疫についてお伝えしたいと思います。
はじめに
歯周病は、歯を支える歯の周りの組織(歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨)に細菌が感染して起こる炎症性疾患です。歯周病は、初期段階では自覚症状が乏しいことが多く、気づかないうちに進行していくケースが少なくありません。放置すると、歯を失うだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼすことが明らかになっています。
歯周病と免疫の関係
歯周病と免疫の関係は密接で、免疫システムは歯周病の予防と治療において重要な役割を担っています。以下に、歯周病と免疫の関係について詳しく解説します。
1. 免疫システムと歯周病の発生
人間の体は、常に細菌やウイルスなどの病原体から攻撃を受けています。免疫システムは、これらの病原体から体を守るための防御機構であり、白血球や抗体など様々な細胞や物質を駆使して、病原体の侵入を防ぎ、感染症から体を守ります。
歯周病の原因となるのは、歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌の塊です。歯垢の中にいる細菌は、歯の周りの組織に炎症を起こし、歯周病を進行させます。
健康な状態では、免疫システムは歯垢中の細菌を攻撃し、歯周病の進行を抑制します。しかし、免疫システムがうまく機能しないと、歯垢中の細菌が増殖し、歯の周りの組織への炎症が強くなり、歯周病が進行してしまいます。
2. 歯周病は免疫システムを弱体化させる
歯周病が進行すると、歯の周りの組織に慢性的な炎症が起こります。この炎症が長期間続くと、免疫システムが過剰に活性化し、本来攻撃すべき病原体以外の物質も攻撃してしまうことがあります。これを「免疫寛容の破綻」と言います。
免疫寛容の破綻は、自己免疫疾患やアレルギーなどの様々な疾患を引き起こす可能性があります。また、歯周病の炎症は、血管内皮細胞を傷つけ、動脈硬化などの循環器系疾患のリスクを高めることもわかっています。
3. 歯周病と全身疾患の関係
歯周病は、糖尿病、心臓病、脳卒中、肺炎、関節リウマチ、早産など、様々な全身疾患と関連していることが明らかになっています。
歯周病の炎症が全身に及ぶことで、これらの疾患の発症や悪化を促進する可能性があります。
4. 歯周病の予防と免疫
歯周病の予防には、日々の口腔ケアが重要です。
- 歯磨き: 正しく丁寧に歯磨きを行い、歯垢を落とすことが重要です。
- 歯間ブラシ・デンタルフロス: 歯ブラシだけでは届かない歯間部も清掃しましょう。
- 定期的な歯科検診: 歯科医院で定期的に歯周病のチェックを受けましょう。
また、免疫力を高める生活習慣も大切です。
- バランスの取れた食事: 栄養不足は免疫力の低下につながります。
- 十分な睡眠: 睡眠不足は免疫力を低下させます。
- ストレスの軽減: ストレスは免疫力を低下させます。
- 禁煙: 喫煙は免疫力を低下させ、歯周病の進行を促進します。
まとめ
歯周病は、口の中の健康だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす疾患です。歯周病の予防には、日々の口腔ケアと免疫力の維持が重要です。定期的に歯科検診を受け、健康的な生活習慣を心がけましょう。
参考文献
- 日本歯周病学会: https://www.jps.or.jp/
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/
注記: 本コラムは一般情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。健康上の問題がある場合は、医師にご相談ください。